大判例

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東京地方裁判所 昭和44年(ワ)14307号 判決

以下は、判例タイムズに掲載された記事をそのまま収録しています。オリジナルの判決文ではありません。

〔判決理由〕<証拠>によると

(イ) 原告は、訴外染谷邦子と資金を出しあつて昭和四三年八月頃から新宿区角筈でバー「真紀」の共同経営をすると共に、自ら仕込みやカウンター内での仕事をし、ボルシチなどの料理を作つて顧客を得ていたが、前記傷害のため昭和四四年三月二四日から五月初旬までほとんど右仕事に従事できなかつたこと、

(ロ) 「真紀」は、事故前まで日曜・祭日を問わず年中無休で開いていたが、原告の休業中、日曜・祭日の九日間は閉店し、平日は臨時のバーテンを雇つて開店したものの、同人では原告の得意とする料理が満足にできず、これを目当ての客が減り、事故当時一日平均二万円余りあつた平日の売上高が一万八〇〇〇円程度に減少したこと、日曜・祭日の売上高は、平日のそれより少なく、一日平均八九〇〇円程度であつたこと、「真紀」における利益率は、荒利益が売上の六割、純利益が売上の三割を下まわることはなかつたこと、

(ハ) 原告は、同業の知人に頼んで三四日間(証拠上三五日であるが、計数上三四日と認める。)派遣してもらつた右バーテンの費用として八万五〇〇〇円を支払つたこと、

(ニ) 「真紀」の床面積は三坪で、客席は九脚であり、一か月の売上高は五〇万円前後であること

以上の事実が認められ、これによると、バー「真紀」では、原告の休業のため、少なくとも、平日分が一日二〇〇〇円の割合による三五日分七万円の三割にあたる二万一〇〇〇円、日曜・祭日分が一日八九〇〇円の割合による九日分八万〇一〇〇円の三割にあたる二万四〇〇〇円(千円未満切捨て)および右バーテンの雇用費用八万五〇〇〇円の合計一三万円の純利益を喪失したものと認められる。

ところで、資金および労務を提供しあつて小規模な飲食店を共同経営する者の一方が傷害により休業したため、臨時に従業員を雇入れて営業を継続した場合において、なお営業収入の減少をきたしたときは、特段の事情のない限り、当該共同経営者は、右従業員の雇用費用および純利益の減少分を自己に生じた逸失利益の損害として加害者に対し賠償を請求しうるものと解すべきところ、本件の場合、右減収のうち日曜・祭日分は共同経営者の前記訴外人も休業したこととあいまつて生じたものであるから、この点を考慮すると、原告の逸失利益は一二万円と認めるのが相当である。(倉田卓次 小長光馨一 佐々木一彦)

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